超合金は高温強度がなぜ高い？

超合金は鉄鋼材料と融点が変わらないのに、なぜ高温強度が高いのでしょうか？不思議に思ったことがありませんか？

少し専門的になりますが、金属材料の強度を高くするひとつの方法として析出強化という強化機構がありますが、インコネル718でもこの強化機構を使用しています。

析出強化を簡単に言うと、熱処理（材料を決められた温度に加熱し、決められた時間保持後に冷却してやる処理）をして、柔らかい基地の中にとても硬い化合物の小さな塊を一杯、均一に出してやること（この小さな塊が出る現象を析出と呼びます）で、金属材料全体を硬く、強くしてやる強化方法です。

例えるなら、コンクリートを強くするのに、セメントだけでなく、中に砂利の様な硬い小石を一杯分散して含ませてやることで強靭にしているのと似ています。

（※）只、コンクリートでは最初から別なものとして混ぜている点は、析出とは異なりますが。

具体的には、析出強化する超合金ではγ‘（ガンマプライム）というNiとAl、Tiで出来た、非常に微細な金属間化合物が、時効処理と呼ばれる熱処理中にたくさん均一に基地中に出てくることで硬くなっています。

（※）γ‘（ガンマプライム）の大きさは、数十ｎm(ナノメーター)（1nm：0.001μ）の大きさです。

このガンマプライムは、900℃位までは”逆温度依存性”という温度が高くなるほど余計に硬くなるという特別な性質を持っています。その為に、普通は温度が高くなるに従いどんどん軟らかくなる金属材料が、中々軟らかくなり難くく高温まで強度を保つことができる様になります。