大型旋盤 豆知識

2023.10.07

大型旋盤・ターニング加工に用いられるステンレス(SUS)材とは?

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ステンレス鋼は鉄にクロムやニッケルを含む合金で錆びにくい鋼として幅広く重宝されています。代表的なステンレス鋼としてSUS304が挙げられますが、一言でステンレスといっても性質や用途により様々な種類があります。

そんなステンレス鋼ですが、金属の中でも難削材に分類されるように、切削加工においては技術を必要とされる材質です。特に鉄などの比較すると靭(ねば)く、さらに切削による発熱で歪みも発生しやすい特性を持っています。例えば、大型旋盤加工において、高精度品の薄肉リングなどを加工しようとした場合、通常の加工方法では大きく歪んでしまい「製品として成り立たない…」なんて事態に陥る場合もあります。

そんな事態に陥らないためには、もちろん高度な技術・ノウハウを持つ加工業者へ依頼するということももちろんですが、各ステンレスの特性を押さえた上で材質を選定するということも重要です。今回は、大型旋盤加工に用いられる各ステンレス材種について簡単に解説したいと思います。まずは、下記の比較表をご覧ください!(※性質は、細かな材種により異なりますので、あくまで参考としてご確認ください。)

1.オーステナイト系ステンレス鋼

まず、1番代表的なステンレス鋼としては、オーステナイト系が挙げられます。具体的には、SUS304SUS316などが該当します。オーステナイト系のステンレスは、ステンレス材の中でも優れた耐食性を誇ります。そもそもステンレス材が選定される理由は耐食性の面が大きいため、やはりオーステナイト系は非常に重宝されています。

2.フェライト系ステンレス鋼

次に紹介するのが、フェライト系ステンレス鋼です。具体的には、SUS430などが例として挙げられます。その他のステンレス材と比較すると、耐食性はやや劣る部分があります。ただし、価格は代表的なオーステナイト系よりも安価であるため、材料費削減を目的とする場合に活用されることが多いです。

3.マルテンサイト系ステンレス鋼

次にマルテンサイト系ステンレス鋼です。代表的な例としては、SUS403SUS420J2が挙げられます。マルテンサイト系は、硬度・耐磨耗性に優れている上、代表的なオーステナイト系に近い材料コストです。一方で、代表的なオーステナイト系と比較すると、耐食性は劣ります。つまり、用途により異なりますが、高硬度が求められる場合に、マルテンサイト系のステンレスは用いられます。

4.二相(デュアルフェーズ)ステンレス鋼

あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、二相(デュアルフェーズ)ステンレス鋼についてご紹介します。具体的には、SUS329J1などが該当します。二相(デュアルフェーズ)ステンレス鋼は優れた強度と耐食性を兼ね備え、海洋環境や石油産業などで使用されます。比較的、新しいステンレスであり、需要は増加傾向にあります。ただし、優れた特性を持つ一方で価格がやや高いため、使用されるシーンが限られているというのが実情です。今後の普及に期待しましょう。

5.析出硬化系ステンレス鋼

最後にご紹介するのは、析出硬化系ステンレス鋼です。SUS630などが析出硬化系に分類されます。析出硬化系は、熱処理によって硬化できないオーステナイト系の硬度・強度を向上させた素材を指します。一方で、二相系と同様に価格はやや高いです。二相系と同様に使用されるシーンが限られていますが、用途によっては重宝されているステンレス材ともいえます。

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