大型旋盤 豆知識

2023.01.27

大型旋盤加工のことなら、大型旋盤・ターニング加工.comにお任せ!

ブログ・豆知識

1.大型旋盤加工とは?

大型旋盤加工とは、一般的にはφ300以上のワークへの旋盤加工のことを指します。旋盤加工を行う機械には、汎用旋盤、自動旋盤、NC旋盤、立旋盤など様々なものがありますが、大型旋盤の中でも大きな部類(φ500以上)の場合は立旋盤が用いられることが一般的です。大型旋盤という言葉自体は、日ごろどんなサイズの旋盤加工品に接しているかで人によってイメージするものが大きく異なってきますが、ざっくり、両手で持てないくらいのものは大型旋盤と捉えて頂ければと思います。

また、大型旋盤と似た言葉として、ターニング加工や立旋盤加工というものがありますが、ターニングと立旋盤は、大型旋盤の中でも「ろくろ」のようなテーブルにワークを設置し、回転させたワークに対して刃物を当てることで旋削を行う旋盤のことを指します。広義にはこうした旋盤加工方法あるいは旋盤加工機のことを指しますが、業界的には大型旋盤のことをイメージされる場合が多いです。

 

2.大型旋盤加工における旋盤加工機の種類

①立旋盤(ターニング)

通常、旋盤加工を行う機械は、横型旋盤になります。しかし、大型旋盤加工では非常に重いワークを扱うため、横旋盤ではワークを固定することが難しいなど様々な問題が発生します。こういった理由から、大型旋盤加工では立旋盤が重宝されています。この立旋盤は、ターニングとも呼ばれ、ろくろのような垂直方向に回転軸を持った回転テーブルにワークをセットし、旋削加工を行います。

立旋盤 VTLex1600

 

②横旋盤(正面旋盤)

上述の通り一般的に大型旋盤加工では、立旋盤が用いられますが、場合によっては横旋盤が用いられる場合もあります。当然、ワークの安定性は立旋盤よりも劣るため超巨大な製品や高さがある製品は向いていませんが、立旋盤と比較すると切粉の排出が良好なため、長時間自動運転が可能です。

横旋盤 FNC-2720MiT

>>大型旋盤加工における立旋盤・横旋盤の違い

 

3.大型旋盤加工における立旋盤(ターニング)のメリット

大型旋盤加工に用いられる立旋盤・ターニングには、様々なメリットが存在します。下記にてそのメリットをまとめます。

①高精度な加工を実現できる

立旋盤・ターニングを用いることで、ワークの自重を利用して回転テーブルに固定することができます。これにより、大型のワークを安定して回転させ、旋削加工することが可能です。その結果、横旋盤に比べて重力や遠心力による振れが少なくなり、旋削加工の精度向上につながります。

②チャッキングが容易である

一般的な横型の旋盤加工機はワークを三爪チャックなどで締め付けて固定しなければなりませんが、立旋盤・ターニングの場合は上記のほかに面板に固定する方法が横旋盤に比べて容易になるため、高精度が求められる薄肉リング品などの旋削加工に対応することができます。

(※なお、大径かつ長尺のワークは高さに制限があるため、立旋盤では対応できないので、横旋盤で加工を行うことになります。この際、自重でワークがしなってしまうことが想定されるため加工条件の最適化が必要となります。)

 

4.大型旋盤加工における横旋盤(正面旋盤)のメリット

ここまで、立旋盤におけるメリットについて詳しく述べてきましたが、横旋盤にはどのようなメリットがあるのでしょうか。下記にて詳しく解説します。

①加工時間短縮、加工コスト削減を実現できる

縦旋盤は大径のワークを高精度に加工できるというメリットがありますが、機械の特性上、加工段取りに手間がかかる、という側面があります。これに対し大型旋盤が可能な横旋盤は、立旋盤に比べ加工前の段取りが容易になるため、トータルの加工時間を短縮できます。結果的に加工コストの削減を実現することができます。ちなみに、横旋盤で加工される大型旋盤加工品としては、シャフト形状から、ディスク形状の製品が挙げられます。

(※ただし、加工性が高くなるとは言っても、やはり横旋盤の場合はワークの大きさに制限があるので、どの加工機を選択するかはよく吟味する必要があります。)

 

5.大型旋盤加工では、どのくらい高精度な加工ができるのか?

大型旋盤加工品あるいはターニング加工品と呼ばれる大きな丸物ワークは、小さな旋盤加工品と比較すると求められる寸法精度や幾何公差も緩くなりますが、用途によっては百分台の加工精度が求められるケースもあります。では、立旋盤で加工を行うような「大型旋盤加工品」は、通常どこまで精度が出せるものなのでしょうか?

大型の旋盤加工品において大きく精度に影響するポイントとしては、①サイズ ②薄さ ③材質(熱処理)があります。これらの相関により、達成できる精度は変わってきます。ここでは話をシンプルにするため、①と②にフォーカスし、事例を元にお伝えしたいと思います。

旋盤加工品は、例えば大型であっても「厚み」があるワークの場合はそこそこの精度を出すことも可能です。しかし、これが薄物リング形状となってくると、そう簡単には精度を出すことはできません。例えば通常の旋盤加工を行っている企業での場合は、φ500・片肉t25のワークの場合、寸法公差は±0.05程度になります。一方、高精度加工が可能な立旋盤を保有している場合だと±0.01程度、というのが相場です。つまり、大型旋盤加工品の数量もある程度あり、コストを抑えておきたいという場合にはφ500程度であれば寸法公差は±0.05までに留められるよう配慮すれば良い、ということになります。

>>高精度 大型旋盤加工品事例(ワークサイズ:φ900 精度:±0.01)

 

6.大型旋盤加工品が活躍する様々な業界

大型旋盤加工品がよく使用される分野としては、

・石油・化学・エネルギー関係の産業機器
・航空機
・船舶
・医療機器

などが挙げられます。

用いられる細かな用途としては、業界により様々ですが、

・回転体
・タービン
・金型
・発電機
・ギヤ
・シャフト
・ディスク
・ケース

等が多いといえます。

 

7,当社の大型旋盤加工事例

ここでは、実際に当社が加工を行った大型旋盤加工事例の一部をご紹介します。

大型金型(外径:φ1800)

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このφ1800×300の大型の旋盤加工品は、大型旋盤・ターニング加工.COMを運営する秦精工が所有する、立旋盤(東芝機械)と5面加工機(三菱重工/MVR30EX、ユニバーサルヘッド付きで斜面加工も可能)を使用し、社内一貫加工を行った金型になります(なかなか写真では判別しづらいですが、緑の部分が幅1mです)。こうした大型のワークは立旋盤や5面加工機が必要になりますが、それを扱えるクレーン・ホイストも必要となってきます。この金型に関しては素材だけでも8t程度ありますが、当社は15tのホイストクレーンを設備しておりますので対応が可能です。

>>当事例の詳細はこちら

大径リング(外径;φ685 真円度0.05)

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この大径リングは、大型旋盤・ターニング加工.COMを運営する秦精工が保有する、立旋盤を使って高精度に加工を行ったものです。外径部はS25C、内径部はWJ1となっております。大型旋盤・ターニング加工.COMはS25CにWJ1を鋳込んだものを購入した上で、内径・外径そして端面加工を行っています。真円度は0.05(機上で0.01)に収めなければならないため非常に難易度が高い加工になりますが、当社では分割後に真円加工を行うことと、治具やチャッキングを工夫し、独自の立旋盤加工ノウハウを用いることで要求精度を達成しています。

>>当事例の詳細はこちら

エンジン部品(外径;φ150)

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大型旋盤・ターニング加工.comを運営する秦精工では、難削材と呼ばれるインコネルの切削・研削における材質特性を押さえた上で日々加工を行っております。インコネルの切削加工品の多くは機密情報が含まれるものが多く写真ではなかなかお伝えできないのですが、その中でも今回は、当社がCNC旋盤とマシニングセンタを使って加工を行ったサンプル品をご紹介させて頂きます。この製品は航空機エンジン部品の受注を目指した企業が応募した加工コンテストの作品になります。素材・図面は主催者からのご支給でしたが、事前に工程フロー、検査内容などを提出した一次審査から始まり、加工納期や完成品の寸法精度や外観の本審査を受けました。

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他にも多数の事例をWebサイトにて公開しております。気になった方は是非下記リンクよりご確認ください。

>>加工事例一覧はこちら

 

8.当社の大型旋盤加工 コストダウン提案事例(VA・VE事例)

ここでは、実際に当社がお客様に行ってきたVA・VE提案の一例をご紹介します。

立旋盤を活用し、薄肉リング製品のコストダウンと高精度化を両立

まず、お客様からご依頼頂いた製品は下記のようなものになります。外形φ390・肉厚10・高さ180、内径公差がH7となっていました。この製品はH7と特に内径公差が厳しく、径方向の変形は寸法公差外不適合に直結してしまいますので、素材に余長を付与し、製品部分を直接チャックしない工程にて加工を行い、加工後、チャック代部分を切り落とし、端面の仕上げ工程を行っていました。しかしこの工程は、

1.変形を押さえるため、素材が厚肉である必要がある。
2.製品長+仕上代とは別にチャック代+切断代が必要であり、その分長い素材長が必要である。

という、素材歩留まりが悪いという課題がありました。そこで・・・

>>当事例の詳細はこちら

大径薄肉リングは、板巻溶接パイプからの大型旋盤加工で20%コストダウン

ステンレスSUS304を使ったφ500の薄肉リングを加工する場合、リング鍛造品から切削加工を行うのが通常の加工方法です。しかしこの工法だと、材料費が高くなってしまう上に旋削加工時間も多くかかってしまいます。材質にステンレスSUS304を使った大型の薄肉リングの旋盤加工品の場合は、リング鍛造品ではなく板巻溶接パイプを使うことで・・・

>>当事例の詳細はこちら

その他、多数のVA・VE事例をWebサイトにて公開しております。是非下記リンクよりご確認ください。

>>VA・VE事例一覧はこちら

 

9.大型旋盤加工のことなら、大型旋盤・ターニング加工.comにお任せください!

大型旋盤・ターニング加工.comを運営する秦精工では、これまで積み重ねてきた機械加工技術・ノウハウと、各種大型機械加工設備により、大型旋盤加工のニーズにお応え致します。立旋盤のほか、大型の5面加工機や5軸加工機も取り揃えておりますので、大型の旋盤加工品に対する追加工はもちろん、特殊鋼・難削材に対するフライス加工や複雑形状の加工にも対応することが可能です。大型旋盤加工のことなら、大型旋盤・ターニング加工.comにお任せください。

 

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