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2021.09.06

ハステロイについて

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超合金の中でインコネル(Inconel)に並んで良く聞く名前にハステロイ(Hastelloy)という名前があります。この名称自体は米国のヘインズ社(Haynes International,Inc)の商標名ですが、広く使用されている合金群なので、インコネルと並び日本でも一般化しています。

ハステロイ自体は、Ni(ニッケル)を主成分とする合金でMo(モリブデン)やCr(クロム)、W(タングステン)、Fe(鉄)などの成分量の違いで、ハステロイB系(Ni-Mo系:Ni65%-Mo28%)やハステロイC系(Ni-Cr-Mo系:Ni57%-Cr16%-Mo16%)など多くの合金があります。

但し、いずれも固溶強化型のNi基合金に属しており、腐食性環境や高温環境での使用に向くものの、引張強度やクリープ強度、疲労強度は析出強化型に比べると低い為に、高強度が要求される構造材用途には向いていません。

具体的には、ハステロイB系は、塩酸などの非酸化性の酸に全濃度で耐え、塩化水素ガスなどにも耐えます。また、Crを添加したハステロイC系は、硫酸や、硝酸などの酸化性雰囲気でも優れた耐食性を示します。

この為、ハステロイ合金はその優れた耐食性から、公害防止装置特に排ガス処理装置関連部品、ポンプやバルブその他の化学装置部品に多用されています。

大雑把に言うと、インコネルが高温構造材に使用されるイメージなのに対して、ハステロイは耐食性用途に使用されるイメージの合金と覚えておけば良いかな?と思います。

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