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2021.08.30

インコネル718もひとつじゃない

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インコネル718は超合金の中の1鋼種名ですが、実はひとつではありません。

決められた成分範囲の中で、各元素のバランス(含有割合の狙い)を変えたり、結晶粒度と言われる組織(粒:つぶ)の大きさをコントロールしたりして、その得られる強度特性をさらに向上させたりしています。

ここでは、代表的な事例としてSTD718 (標準718)、HS718(高強度718 )及びDA718(直接時効718 )について紹介します。

STD718(標準718)は結晶といわれる粒の大きさが平均50μ程度ですが、HS718( 高強度718)になるとその粒の大きさは平均10μ程度と数分の1になります。

また、STD718 (標準718)はインコネル718としての主要な強化元素であるNbが5.1%程度ですが、HS718(高強度718)では5.4%程度と成分規格範囲(4.75~5.5%)の中で上限近くにまで高められています。

これらの差によって、同じインコネル718でありながら、STD718(標準718)に対してHS718 (高強度718)は引張強度や疲労強度が大幅に向上します。

さらに、HS718(高強度718)と同様の成分で、鍛造後の固溶化処理といわれる熱処理工程を省略し、鍛造後に直接時効処理といわれる熱処理を行うDA718 というインコネル718があります。このDA718 (直接時効718)はHS718(高強度718)よりもさらに引張強度や疲労強度が向上しています。

全部を強い方にと思いがちですが、厳密に言うと性能を発揮できる使用可能温度域が異なっていたり、コストの差もあったりするので作る部品の要求性能によって使い分けられています。

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