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2021.08.30

超合金を造るにはー溶解についてー

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インコネル718のような超合金を造るには様々な工程を経る必要がありますが、ここでは一番最初に行われる溶解という工程について説明します。

簡単に言うと、溶解とは原料となる金属を溶かして混ぜ合せた後に冷やして固める作業です。金属を溶かすにはその融点以上に温度を上げる必要があるので、原料を誘導加熱を利用して1500℃を越える高い温度に加熱して溶かして混ぜ合せて行きます。

インコネル718の場合、その混ぜあわせる元素の数は十種類を越えますが、狙った特性が発揮できるように、厳密にその割合を調整しています。

また、超合金の場合には混ぜ合わせる元素として、高温で非常に酸化し易い元素である、AlやTiなどの活性元素を正確に添加しないといけないので、溶解作業は真空雰囲気中で行われます。

この溶解炉は真空誘導溶解炉と呼ばれますが、国内では一度に20トンを超える重量の溶解が行える炉があります。世界では30トンの溶解が行える炉も存在しています。

また、超合金ではその性能を最大限に発揮させるために、溶解は一度だけでなく、二度、三度と繰返し行います。

二度目、三度目の溶解は、前述の真空誘導溶解炉ではなく、別の設備で行いますが、ここでは詳しくは省略します。こうすることで、性能に悪影響を及ぼす不純物元素がどんどん低減され、高い信頼性を持った高性能な合金が造り出されます。

NiやCo、Moなど高い原料がほとんどの上に、手間暇かけて何回も溶解するわけですので超合金が高価な合金であるのも頷けます。

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