大型旋盤 豆知識
2021.08.30
超合金を造るにはー機械加工についてー
ブログ・豆知識
インコネル718で部品(製品)を造る最終工程である機械加工について説明します。
機械加工は旋盤やフライス盤などの切削加工の専用設備で、超硬などのチップで製品形状に鍛造品などを削っていく加工のことを言います。
インコネル718などの超合金は、難削材と言われ削り難い材料の代表格とされています。では、何故超合金は削り難いのでしょうか?
理由は概ね以下の4点です。
1.超合金は高温まで強度が高いからです。
2.超合金はオーステナイト相であり、加工硬化し易いからです。⇒硬さが高くなる
3.色んな活性元素が含まれるため、チップとの親和性が高く凝着し易い。
4.超合金は熱伝導度が低いからです。⇒温度が高くなる
少し、補足説明をしますが、金属の切削は、工具であるチップと削られる材料との硬さ(強度)の差が大きい必要があります。この差が大きい状態で維持されていることで硬い金属でも綺麗に削ることができます(凡そ、4倍以上の硬度差が必要と言われています)。また、金属の切削点では切りくずの塑性変形の為に大きな熱が発生し、チップ先端の温度は800℃を越えるような非常に高温になります。従って、実際にはこの高温下での素材とチップの硬度(強度)差が大きいことが重要になります。
超合金の場合前述のように、高温まで材料自体の強度が高い上に、加工による変形でより強度は上昇します。加えて、熱が逃げにくくより切削点の温度が上昇するので、チップにとってはとても不利な条件での加工となるので、削るのが難しのです。
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