超合金を造るにはー鍛造についてー

インコネル718を造るには様々な工程を経る必要がありますが、ここでは溶解の次に行われる鍛造という工程について説明します。

鍛造とはその字の通り鍛えて造る作業の事を言います。まさしく、鍛冶屋さんが、真っ赤に加熱した鉄をハンマーで叩いて形を変える作業そのものです。

インコネル718でも、製品に要求される高い特性が出せるように、また製品形状にする為に同様に鍛造作業が行われます。但し、その設備は厳密に素材温度が制御できる温度分布の良い加熱炉や、鍛造時の変形速度、変形量が制御できるようにプログラムが組めるコンピュータ制御のプレスなどになっています。

ところでで、インコネル718の大型鍛造品を製造する場合にはどのくらいの強さのプレスが必要なのでしょうか？超合金は高温での強度が高いのが特徴の合金ですが、このことは逆に言えば、鍛造される温度に加熱されている時の強度も高いことを意味しています。その為、超合金の鍛造にはとても力が必要であり、非常に大きなプレスが必要になります。

今、日本にある最大の鍛造プレス機は幾らの力があるでしょう？それは、岡山県倉敷市の日本エアロフォージ（略称J Forge）にある5万トン油圧鍛造プレス機で、世界でも最大級の力を発揮するプレス機です。

（※）５万トンは、体重60Kgの人が、83万人余り乗っかる必要のある力であり、わが社のある島根県の全人口（68万人）ではまだ足りません。

大型旋盤・ターニング加工.comを運営する秦精工では、縁あってこのJFで鍛造された航空エンジン用に使用されるインコネル718大型鍛造品の機械加工を行っています。