大型旋盤 豆知識
2021.03.27
大型旋盤における立旋盤・横旋盤の違い
ブログ・豆知識
1.大型旋盤とは
大型旋盤とは、一般的にはφ300以上の旋盤加工のことを指します。旋盤加工を行う機械には、汎用旋盤、自動旋盤、NC旋盤、立旋盤など様々なものがありますが、大型旋盤の中でも大きな部類(φ500以上)の場合は立旋盤が用いられることが一般的です。実は、大型旋盤という言葉自体、日ごろどんなサイズの旋盤加工品に接しているかで人によってイメージするものが大きく異なってきますが、ざっくり、両手で持てないくらいのものは大型旋盤と捉えて頂ければと思います。
また、大型旋盤と似た言葉として、ターニング加工や立旋盤加工というものがありますが、ターニングと立旋盤は、大型旋盤の中でも「ろくろ」のようなテーブルにワークを設置し、回転させたワークに対して刃物を当てることで旋削を行う旋盤のことを指します。広義にはこうした旋盤加工方法あるいは旋盤加工機のことを指しますが、業界的には大型旋盤のことをイメージされる場合が多いです(なお後述しますが大型旋盤でも横型の旋盤加工機を用いることもあります)。
2.大型旋盤加工における、旋盤加工機の種類
旋盤加工を行う機械は、横型のものが一般的です。しかし、大型旋盤の場合は非常に重い重量物を扱うなどの観点から立型の旋盤(立旋盤)を用いるケースが多くなります。この立旋盤はターニングとも呼ばれ、ろくろのような垂直方向に回転軸を持った回転テーブルにワークをセットし旋削加工を行うというものです。もちろん大型旋盤の中にも様々な大きさ・高さ・長さのものがあり、いわゆる長尺品になるとこの立旋盤・ターニングは加工できる限界がありますが、ワークサイズ(直径)が大きくなればなるほど立旋盤・ターニングが活躍すると言えます。
大型旋盤を専門とする切削加工メーカーでは、一般的な旋盤を「横旋盤」、回転テーブル方式を「立旋盤」と区別することが多くなっています。
3.大型旋盤加工における、立旋盤のメリット
大型旋盤に用いられる立旋盤・ターニングは、様々なメリットが存在します。
立旋盤・ターニングは、ワーク(製品)の自重を利用して回転テーブルに固定できるので、大型の丸物製品を安定して回転させ、旋削加工することができる、というのが最大のメリットです。その結果、横旋盤に比べて重力や遠心力による振れが少なくなり、旋削加工精度を向上させることが可能です。さらに、一般的な横型の旋盤加工機はワークを三爪チャックなどで締め付けて固定しなければなりませんが、立旋盤・ターニングの場合は上記のほかに面板に固定する方法が横旋盤に比べて容易になるため、例えば高精度が求められる薄肉リング品などの旋削加工に対応することができます。
なお、大径かつ長尺のワークは立旋盤では対応できないため(高さに制限がある)、横旋盤で加工を行うことになります。この際、自重でワークがしなってしまうことが想定されるため対策が必要となります。
4.大型旋盤加工における、横旋盤のメリット
ここまで、立旋盤におけるメリットについて述べてきましたが、実は大型旋盤だからと言って、立旋盤でなければ加工できない、という訳ではありません。縦旋盤は大径のワークを高精度に加工できるというメリットがありますが、機械の特性上、加工段取りに手間がかかる、という側面もあります。
これに対し大型旋盤が可能な横旋盤は、立旋盤に比べ加工前の段取りが容易になるため、トータルの加工時間を短縮できます。一般的にはシャフト形状から、ディスク形状の製品を旋削加工することが多くなっています。
ただし、加工性が高くなるとは言っても、やはり横旋盤の場合はワークの大きさに制限があるので、どの加工機を選択するかはよく吟味する必要があります。
大型旋盤・ターニング加工.comを運営する秦精工では、大型旋盤加工が可能な立旋盤・横旋盤を保有し、高精度加工を要望される場合にも、高い旋削加工技術により対応することが可能です。ワークの大きさ、形状、ご要求精度から最適な旋盤加工機を選択しご提供いたしますので、大型旋盤でお困りの場合は当社までお気軽にご相談ください。
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