大型旋盤 豆知識

2025.04.04

大型旋盤加工における材質の熱処理硬度と旋盤加工の関係性

ブログ・豆知識

大型旋盤加工は、その名の通り大型の工作物に対して旋削加工を行う技術です。船舶のプロペラシャフトや発電機のタービンローターなど、多岐にわたる大型部品の製造に不可欠です。これらの部品は、その用途から高い強度と耐久性が求められ、材質に応じた適切な熱処理が施されます。そこで、当記事では大型旋盤加工に用いられる代表的な材質と適切な熱処理硬度について、ご紹介します。

大型旋盤加工に用いられる代表的な材質と熱処理硬度

大型旋盤加工では、様々な材質が用いられますが、代表的なものとして以下の材質が挙げられます。

SCM440(クロムモリブデン鋼)

SCM440は、強度と靭性のバランスに優れた合金鋼です。自動車部品や機械部品など、幅広い用途に使用されます。一般的には、熱処理硬度:HRC32辺りが適切だといえます。MAX:HRC50辺りまで熱処理硬度を高めることが可能です。ただし、高硬度のみが要求される場合は、他の材質を選定した方が良いでしょう。

SNCM447(ニッケルクロムモリブデン鋼)

SNCM447は、SCM440よりもさらに強度と靭性に優れ、大型の機械部品や高圧部品などに用いられます。一般的な熱処理硬度はHRC40辺りが適切です。MAX:HRC55まで熱処理硬度を高めることも可能です。しかし、SCM440と同様に高硬度のみが要求される場合は、他の材質を選定した方が良いでしょう。

SKD61(高合金工具鋼)

SKD61は、高温下でも高い硬度と強度を維持できる素材であり、ダイカスト金型や押出金型などに用いられています。一般的な熱処理硬度はHRC50辺りです。MAX:HRC55辺りまで熱処理硬度を高めることが可能です。

SKD11(高合金工具鋼)

SKD11は、優れた耐摩耗性を持ち、プレス金型やせん断金型など、高い精度と耐久性が求められる用途に使用されます。一般的な熱処理硬度は、HRC60辺りです。MAX;HRC62辺りまで熱処理硬度を高めることが可能です。

※熱処理によって硬度を上げると耐摩耗性等は向上しますが、靭性等は弱まる傾向にあります。そのため、求める製品用途や条件に応じて、バランスを考慮し、材質の選定・熱処理による硬度設定を決めていく必要があります。

熱処理硬度と大型旋盤加工の関係

熱処理硬度は、大型旋盤加工の難易度に大きく影響します。一般的に、硬度が高いほど切削抵抗が大きくなり、工具の摩耗も進行しやすくなります。そのため、材質の硬度に応じて適切な切削工具を選定することが重要です。あくまで一例ですが、切削工具の使い分けは下記の通りになります。

・低硬度材(HRC40未満):ハイス工具 etc.
・高硬度材(HRC40以上):超硬工具、セラミック工具 etc.

また、切削油剤の選定も重要です。適切な切削油剤を使用することで、切削抵抗を低減し、工具の寿命を延ばすことができます。

大型旋盤加工品の材質選定もお任せください

大型旋盤加工における材質の熱処理硬度は、製品の品質と生産性に大きく影響する重要な要素です。大型旋盤・ターニング加工.comを運営する秦精工では、お客様のご要望をヒアリングした後、最適な材質をご提案することが可能です。大型旋盤加工品の材質選定でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

関連事例 一覧

  • 投稿はまだございません
    もうしばらくお待ちください。
一覧へ戻る